『WISH YOU WERE HERE /炎』1975年              1975年11月1日

1.狂ったダイアモンド(パート1〜5)
2.ようこそマシーンへ
3.葉巻はいかが
4.あなたがここにいてほしい
5.狂ったダイアモンド(パート6〜9)
  David Gilmour - Guitar & Vocals
Roger Waters - Bass Guitar & Vocals
Nick Mason - Percussion
Richard Wright - Keyboards

Roy Harper - Vocals On 'Have A Cigar'

 『炎』を買う少し前に友達に『狂気』を聴かせてもらいびっくりした私はPINK FLOYDのことをいろいろ訊いたのですが、「今度『炎』というLPが出た。これはいい。」という話を聞き、この頃はまあ「即っ!」というほどでもなかったのですが、しばらくしてレコード屋に『狂気』と『炎』を買いに行ったのである。しかし、『狂気』はなかったので注文ということになったため私が一番最初に買ったPINK FLOYDのアルバムは『炎』ということになったのである。つまり『炎』を買った時、私はPINK FLOYDに関してはほとんど何も知らなかったのであります。
 しかし、LPではA面とB面に分けられた、A面1曲目の「狂ったダイアモンド・第1部」を聴いた時それまで聴いていたものとはまったく違う音の世界があったことに驚いた私は、この曲にすっかり引きつけられてしまい、それこそ「狂った」ように毎日この曲ばかり聴いていたのである。
 なぜこの曲がこんなにも気に入ってしまったのか、それは今でもうまく言えない。これはもうその時に「オレが本当に好きな曲はこういう曲、音楽だったんだ」という潜在意識が目覚めたとでもいうしかないだろう。
  
 「さあ、こっちへ来い」と言ってるようなイントロのシンセサイザーで、初めて聴く者に「おお、この先どう展開していくんだ?」と思わせ、ギターを弾けない私が聴いても「かっこいい!」と思った4分〜8分あたりのフレーズというか、どこかの感覚を刺激するようなメロディー・ラインには相当シビレてしまった。歌に入る前の「ふっふっふ」という押し殺したような笑い声のところも大好きである。
 2曲目の「ようこそマシーンへ」もそれまでに聴いたことがなかった感じの曲でこれも相当気に入ったが、3曲目の「葉巻はいかが」と4曲目の「あなたがここにいてほしい」はその頃聴いていたものとたいして変わりがなかったような気がして、当時はあまりのめり込むようなことはなかったが、「あなたがここにいてほしい」の最後の部分でステレオが急に壊れたように聴かせるところなど「わ、すごい」と思ったものである。
 そして、これまた「おおっ!」というような(当時はネ)風の音で始まる5曲目の「狂ったダイアモンド・第2部」はこれはもう最高である。「第2部」はあまり話題にのぼらないが私は大好きである。とくに3分30秒を越えたあたりからの演奏はもうなんとも言えない。すばらしい!
  私は歌詞や楽器を弾くテクニック、曲展開よりもメロディーを重視して聴くほうだが、この『炎』には私好みのメロディー・ラインがいっぱいつまっている。買った時は歌詞も読んだ。ライナーも読んだ。しかし、そこに何が書かれてあろうとそれはもうどうでも良かった。初めて聴く人がその音だけ聴いても、なぜか引きつけられてしまう不思議なパワーが『炎』にはあった。これは今聴いても最高の気分を味わえるアルバムなのである。

2000/9/22


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