『ロジャー、来日公演』
『まえがき』 ついにロジャーがやって来た。本当に日本に来てくれた。
これまでに88年、94年と2回フロイドのライブ見ているが、そこにはすでにロジャーの姿はなかった。正直なところ、88年に初めてフロイドを見た時は、その圧倒的な迫力に感動して「ロジャーがここにいてほしい」とは思わなかった。それでも、『ザ・ウォール』を作ったやつがどんな人なのか見てみたいとは思っていたが、それは叶わぬ夢とあきらめていたのである。
99年に突然ロジャーがソロ・ツァーを開始した時も「ま、日本には来ないだろうな」と思っていたし、00年に全米ツァーが終了し、「01年はヨーロッパ・ツァーを行う」というニュースを見た時も「まさか日本までは・・・」と思っていたのである。
ところが、である。01年はツァーはなかったが、秋に発表された「IN THE FLESH TOUR 2002」のスケ ジュールに日本が入っていたのである!
歓喜した私は大阪2回、東京3回の来日公演のチケットのうち東京は全部おさえた。だが、大阪まで見 に行きたいとは思わなかった。それは、99年、00年の「IN THE FLESH TOUR」のブートCD、ビデオ、オフィシャルのCD,DVDなどをさんざん見たり聴いたりして、どうもあまりいいとは思わなかったからである。ロジャーのソロ・アルバムの曲が聴ける第2部後半はいいのだが、その他大半を埋め尽くしたフロイドの曲を聴いて「なんだかなあ・・・」という感じがしたのである。
現行フロイドを「20世紀最大のフロイドのコピー・バンドだ」など言う人もいるが、私にはロジャーのソロ・ツァーで展開されるフロイド曲のほうがなんだかトリビュート・バンドが演奏しているようで、勝手に「だめだこりゃあ〜」と感じてるやつなので「まあ3回も見ればいいだろう」などと思いながら、2002年3月28日(木)、東京行きの新幹線に乗り込んだのである。
あ、余談ではありますが、14年前武道館にフロイドを見に行く時は途中で「この電車、事故起こさなければいいなあ」なんて思ったりしたのでありますが、今回は今思うとそんなことは思わなかったなあ。
なんで?
『開演前』
初めて来た東京国際フォーラム。28日は1階席はほぼ満席。しかし、この日は前から5列目だったので2階席がよく見えたが、どうも前から10列目あたりまでに固まっていてその後ろはガラガラでありました。30日、31日も大体そんなもんだったらしい。ここは収容5000人くらいなので、毎回3500人くらいしか来なかったのではあるまいか。いや、88年のフロイドの時を思えばよく3500人も集まったと言うべきか・・・
で、ステージ・セットのほうはと言うと、ありゃ・・・? これはなんというか、セットと言うよりはステージ上にただ楽器、機材を置いただけというか、並べただけというか、なんとも質素なものでありました。バック全面はスクリーンになっており、開演前はそこに今回のツァーのシンボル・マーク(?)になっている壁柄のピンクのブタが映し出されておりました。映写方法はフロイドのようにスクリーンのうしろからではなく、1階席の1番うしろから4台のプロジェクター(?)で投射しておりました。
ステージ両脇の壁にかかっている巨大なスピーカーはロジャーが持ち込んだものらしいです。
始まるまでずっと流れていたBGMは「レイラ」になるまで、それが全部E・クラプトンの曲だったというのはエンブリオさんに聞くまで知りませんでした。こういう時のBGMというのはアーティスト側で指定するのだろうか。それとも会場側で勝手に選んで流しているのであろうか?どうせならライブで1曲もやらなかった『ラジオKAOS』でも流してほしいところでしたね。これなら「えっ、これもロジャーの曲?」とか言ってグッズ売り場のCDももっと売れたような気がしたんですがねえ。
あ、グッズ売り場といえば、フロイドのCDなども並べてありましたが、さすがに『鬱』とかはありませんでしたね。2枚買ったら何か特典、というのであれば何枚でも買ったんですが、なんのオマケもないようなので買いませんでした。そのかわりと言ってはなんですが、パンフレットは言うに及ばずブタTシャツ、キャップ、キーホルダー、バッジなど買い漁りました。どれもブタマーク付きなので、「アニマルズ・ツァー」でギルモアが着ていたブタTシャツが当時ほしかった私にとってはうれしかったです。
客層はやはり圧倒的に40代が多かったような気がしました。外人もパラパラと来ていましたが、さす がに若い女性客などはあまりいないようでした。たまに口笛など鳴らす人もおりましたが、だいたいみんなおとなしく始まるのを待っておりましたね。
そして、客電が落ちて7時3分、ほぼ予定時刻通りにコンサートはスタートしました。
あ、それからこれは大体28日に見た初日のことを書いております。ま、例によってライブ・レビューなどという大げさなものではなく、ただの雑感でありますからたいしたことは書いておりません。はい。
『第1部』 メンバーが配置につき、大音量で「イン・ザ・フレッシュ」のイントロが流れる中、ステージ左から例によって黒ずくめでロジャー登場。ステージ後方の高台にゆっくりと上がっていき、かるく左手を上げる。場内誰も立ち上がるものはいないが大歓声に包まれる。が、ロジャー、バック・ボーカルのおばちゃんがハンマー・マークするが前のほうの客ですらそれに応えるのはパラパラとなんとも淋しい。30日はうしろのほうで見ていたのでその様子がよくわかったが、ホントに10人いたかどうか・・・
ま、ロジャーも日本の客はおとなしいというのを聞いていたと思うのでそのへんはあまり期待していなかったと思うがこれにはちょっとガッカリしたのではあるまいか。
28日は前から5列目だったので、音がすごくうるさ過ぎたが、もう目の前にロジャーがいて、オープニングにふさわしい「イン・ザ・フレッシュ」が初めてあんな大音量で聴けただけでもう感激。スクリーンにはベルリン90の時のスライドが映し出されていたが、これがハンマーの行進になった時はロジャーが出て来た時よりも感動してしまいました。
30日は34列目で見ていたが、この辺のほうが音のバランスは良かったように思った。
2曲目、ヘリコプターの音に続いてロジャーが「ユー!」と客席を指差し「ア・ハピエスト・ディズ・オブ・アワ・ライブス」になるが、この時ロジャーに指差され照明を浴びた人は一生忘れない思い出となったのではあるまいか。
続く「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール・パート2」では、斜め前3列目に座っていた女性の方が手製のお面を振っていましたが、この人は最後までずっと一緒に歌っておりました。きっと私などはるかに及ばないフロイド、ロジャー・ファンなのであろうと感心しました。
「アナザー・ブリック・〜〜」2コーラス目では、ロジャーが客席に近づいてきて私のところから5メ−トルくらいのところまで来たのでおとなしい(?)私も思わず両手を振ってしまう。立ちたいけどみんな立たないんだよなあ。30日、うしろのほうで見ていた時はホントにみんなうれしそうに手を振っているのがよくわかりましたけどね。
この時、ロジャーが手を耳に当てて「どうしたみんな、聞こえないぞ。一緒に歌ってくれ」というしぐさをするんですが、さすがに日本では大合唱にならないというところが残念であります。アメリカでは2コーラス終わったあと、もう一度繰り返すんですが、今回は2コーラスで終わりのようです。これが日本だけだったらがっかりするので今年のツァーからこうなったと思いたいです。
このへんは後半のギター・ソロもなかなか良く、演奏に破綻はない。
次にロジャーはアコギに持ち替えて曲は「マザー」へと移り、スクリーンには『ザ・ウォール』のマザ−の映像が映し出される。これまで「ドッグス」が始まる前に上着を脱いでTシャツになっていたが、最終日は気合が入っていたと見えて「マザー」の時に上着を脱いでおりました。ただ「暑かった」からだったりして・・・。
できればこのまま「グッバイ・ブルー・スカイ」に突入してほしかったが、曲は「ゲット・ユア・フィルシィ・ハンズ・オフ・マイ・デザート」「サザンプトン・ドック」になってしまう。全米ツァーではこの最初の爆発音の時に火が上がる時もあったが、さすがに日本のホール内では火気厳禁のようである。もうこのへん聴いていると、コンサートの流れに合わなくても、ボーカルがギルモアじゃなくてもいいから「ノット・ナウ・ジョン」やってくれえ〜!と思ってしまう。
7曲目、パターシー発電所が大写しになり、ロジャーはアコギのまま「ピッグス・オン・ザ・ウィング・パート1」を演奏。途中『アニマルズ』のプロモーション用映像などが映されうれしくなってしまう。
続く8曲目は第1部のハイライトのひとつでもある「ドッグス」である。全米ツァーでは、最初のアコギ、ボーカルともジョン・キャリンが演っていたが、02年はジョン不参加のため、アコギはアンディ・フェアウェザー・ロゥ、ボーカルは今年から参加のギタリスト、チェスター・カーメン(?)が演っていたが、どうもこれはジョンのほうがいいようである。
ワン・コーラス終わったあとの間奏で、これまで主にリード・ギターをチェスターに任せてあまり目立った演奏をしていなかったスノーウィ・ホワイトのギターが全開になり「おおし、いいぞー」と見ているこちらも力が入ってくる。
中盤、シンセ、ドラムだけの演奏の時は例によって他の4人のメンバーは一杯やりながらトランプ・ゲ−ムなど興じるわけだが、これにはどんな訳があったのであろうか? うしろから犬の鳴き声が聞こえる中、ゆっくりと動き回る赤と緑の照明がきれいだった。ちなみにキーボードはアンディ・ウォーレスとハリー・ウォータースの2人だがハリーはロジャーの25才の息子である。
ここで余計なことを言わせてもらえば、ポーカー・ゲームの時バック・ボーカルのおばちゃんはすぐ横の椅子に座りそれを見ているのだが、ステージが狭いため(?)別の椅子が用意できなかったとみえて、定位置のうしろの椅子に座ったまんまでした。全米ツァーではアンディの横に置いてあったモニターも見あたらなかった。ま、いちいち全米ツァーと比べてもしょうがないのだが、どうもこういうのは気になってしまう。
しかし、「Who was 〜」と歌うロジャー得意の最後の繰り返しのところなどは、何度聴いてもぞくぞくしてしまいますね。
でも、このあとはどうしても今度はブタの鳴き声が聞こえてきて、「ぴゅ〜〜ん」などというシンセの音で始まる曲を期待してしまいますねえ。でも、この曲だけはロジャーの「はっはぁ〜」とギルモアの「ぎゅいぃぃ〜ん」とリックの「ぴろぴろぴろ」とニックの「ぽくぽく」がないとてんで話になりませんね。いや、脱線すんません。
『炎』不完全版? 9曲目は「クレージー・ダイアモンド・パート1〜5」である。全米ツァーでは『炎』からの曲はバラバラで演奏されたが、今年からはアルバム通りに演奏しているようである。5曲のうち4曲もやるんだったらそのほうがいいと思うが、しかしここまでやられたらどうしても「葉巻はいかが」も聴きたくなってしまうよなあ。
ま、そんなこと言ってたらキリがないが、さて、「クレージー・ダイアモンド」である。キーボードがジョンの時はさすがに何回も演奏していただけあって「おお、さすが!」と思っていたが、ハリーに代ってからはどうもこれはいけません。武道館で見た時は建物がびびるようなシンセサイザーの重低音って「すごいっ!」と思ったが、ハリーさんはただ音がデカイだけで、どうもハラワタに響いてこないのである。とくに31日はスピーカーの前だったので最悪だったような気がした。このイントロに限らず、だいたい各パートが短くてテンポが早過ぎるのである。ギターも「ドッグス」あたりまでは良かったのだが、スノーウィさん、早く弾き過ぎ!今年からギターを変えたわけでもなかろうが、これでは私の1番大好きな曲がぶち壊しじゃあーりませんか。曲によってはライブの場合アレンジを変えてもいいものもあるが、「クレージー・ダイアモンド」の場合は「レコードと同じなんて、それじゃ面白くないでしょ」と言われようとオリジナルを忠実に再現してほしかったです。ま、そう思ってるのは私だけだと思うのであんまり言いませんけどねえ。
しかし、「パート5」でシドが映し出された時などは、あまりシドが好きじゃない私でも「じ〜ん」ときてしまいましたね。これ、何も知らずに見たらホント泣いてしまったかも・・・
10曲目の「ようこそマシーンへ」は良かったですね。とくにイントロのシンセ最高! なんでこういうふうにできなかったのかなあ。「そりゃあんた、今回はパート6〜9までバッチリやってるし、多少は短くなっても雑(?)になっても仕方あらへんがな」なんてんじゃないでしょうなあ。(って、しつこいかな)
「ようこそマシーンへ」の最後、血の海から高層ビルが飛び立つ時に、ロジャーが息子のハリーのほうをじっと見つめていた姿が印象的でありました。とくに30日だったかな。
11曲目の「あなたがここにいてほしい」では、アコギはロジャーだけで、「あれあれ」と思っていたんですが、31日はスノーウィもアコギにしてましたね。やっぱりこのほうがいいような気がしたんだけど、私はこの時トイレに行っていたのでイントロの掛け合いが見られなかったのですよ。ちなみに、当然のごとく合唱にはなりませんでしたね。
続いて風の音で始まる「クレージー・ダイアモンド・パート6〜9」はこれまた私の大好きな曲でありまして、とくに「パート6」のスリリングな演奏には当時は相当シビレたんですが、これもあのなんというのか知らないけど、スチール・ギターのようなものでないとちょっと無理なようですね。「アニマルズ・ツァー」の時の「パート6」も「う〜ん・・・」となってしまうので、私は「アニマルズ・ツァー」ブ−トの『炎』サイドは聴かないというとんでもないやつです。
でも今回、ダブル・ギター、ダブル・ベース、ダブル・キーボードで押しまくる最初のところにはシビレました。あと、ちょっとパッとしなかったけど「アニマルズ・ツァー」で使われた平面(?)ミラー・ボールが見られたのがうれしかったです。
ということで、前半は「おおおーーーっ!!」、後半は「ありゃあ〜?」という第1部でありました。
『なかがき』 というのもなんかへんだが、「なかがき」である。
20分の休憩時間にすることといえばなにはともあれトイレである。が、各トイレはどこも長蛇の列で「ぎゃっ!」と言ってしまった。トイレのあとは喫煙所で一服しながら、今日のライブについて他の客はどんなことを言っているのか知らん顔して聞いてみようと思っていたが、とてもそんな余裕はございませんでした。ちなみに女性客はホントに少なかったとみえて、こちらのトイレはガラガラでしたね。
ついでにここに書いておくと、ツァー・パンフは全米ツァーの時と違うところはメンバー紹介が載っている最後の4ページ以外はまったく同じでありました。
ステージで違うところはやはり照明は日本のほうが少ないですね。どうも国際フォーラムではちょっと狭かったようです。
あと、入り口での持ち物検査は「そんなんでいいんかいな」というくらい簡単なものだったので、今回の来日公演ブートはかなり出回りそうであります。
各日の開演時間など覚えているところだけ参考程度に書いておきます。
第1部 第2部
3月28日(木) 19:03 〜 20:13 20:33 〜 21:57
3月30日(土) 17:13 〜 18:30 18:50 〜 20:10
3月31日(日) 17;15 〜 ? ? 〜 ?
『第2部』 さて、第2部のオープニングは「太陽賛歌」であります。ロジャーがアコギを弾きながら実に厳かに始まり、スクリーンには昔のビデオ・クリップなどのスライドが映し出されます。
しかし、この「太陽賛歌」、最初はいいんですがだんだん賑やかになってきてちょっと迫力があり過ぎて困るんですね。こういう曲こそそのセット同様必要最小限の演奏でぼそぼそとやってもらいたいんですが、ちょっと派手過ぎましたね。だいたい、こういう曲はオープニングにふさわしくありません。と、思っていたら、30日、31日は1部の中盤で演奏されるようになりましたが、そのほうがいいと思います。サックスが入るのもなんだかなあ・・・であります。
サックスはなんという人か知りませんが、この人は自分の出番の時だけ「ささっ」と出てきて、終わると「つつつーっ」とすぐいなくなってしまうので、88年フロイドのスコット・ペイジのように出しゃばらないところに好感が持てたので、できれば「太陽賛歌」の時も出てこなければ1番良かったんですが、なんて言ったら怒られてしまうような気もしますが、ま、そんな「太陽賛歌」でありました。
えーと、ということで次は14曲目かな・・・だな。「スピーク・トゥー・ミー + 生命の息吹」ですね。やっぱし第2部のオープニングはここから始まったほうがいいですね。ボーカルは新参加ギタリストのチェスターで、ロジャー以外ではだいたいこの人が歌っていましたが、このへんは私はとくに「これはいかん」という感じはしなかったですね。
そして、15曲目めは「待ってました!」の「タイム」であります。フロイドと違って「とっことこ、とっことこ・・・」はロジャーがベースでやっていたので感心したのも束の間、私の大好きなイントロのタイコがそれぶち壊し!ドラムはグラハム・ブロードと呼ぶんですかね、まあ、そんな人でロジャーとの付き合いも長いようで、これまでなかなかいいではないかと安心して見ていたんですが、なぜかこの時だけ張り切りすぎ!「もうちょっとゆっくり叩きなよ」と言いたいくらい早すぎ、叩きすぎでちょっとがんばりすぎてしまいましたねえ。この時以外はなかなか良かったんですがねえ。
あと、大昔初めて『狂気』を聴いて、これがなかったらその後フロイドにのめりこんだかどうかはなはだ疑問、といっても過言ではないあの間奏のギターね。全米ツァーではサウスポーのドイル・ナントカさが弾いておりまして、ま、なかなかカッコ良かったんですが、「なんだか違うなあ。うまけりゃいいってもんじゃねえぞー、フレーズ変えるなあぁーー」などとわからないように遠くで騒いでいたんですが、今回代りに来たチェスターさんのここは良かったですね。28日が一番良かったかな。
えー、なんだか文句ばかり言ってるようで怒られてしまいそうですが、次は16曲目「マネー」です。
これはなんというか、イントロの「チーン、ジャラジャラ」があっちこっちから聞こえていたような気がしたんですが、その効果も狭い会場ではイマイチという気がいたしました。
チェスターさんが歌ってる間にロジャーが観客席のほうに近づいてくるんですが、30日うしろのほうで見ていた時は前のほうの客はほとんど無反応でしたね。30日の客が一番おとなしかったような気がしたなあ。そのかわりに私の斜めうしろのラテン系と思われる何人かの外人は終始ノリまくって賑やかでしたね。ええ、もううるさいくらいでしたよ。
間奏になったところで突然! それまでギター、ベース、アコギと曲ごとに持ち替えたいして目立ってはおりませんでしたが、なかなかいい味出していたアンディが本当に突然前に出てきて暴れ出しましたが、これは実にカッコ良かったですね。でも、最終日は力が入り過ぎてしまったのか最初の一撃で弦一本切ってしまいましたね。それでも何事もなかったかのように演奏を続けていたのはさすがでありました。
続いて17曲目はやっとここまできてソロ曲の「ストレンジャーの瞳」になりました。『ザ・プロス・アンド・コンス・オブ・ヒッチハイキング』は大好きなアルバムなのでもっと沢山やってほしかったんですが、単品勝負には向かないような曲ばかりなのでしょうがないですね。
曲の終わりにロジャーが「アンディ・フェアウェザー・ロゥ」と紹介したくらいでしたから、ギターは本当に素晴らしかったですね。欲を言えば最後のなんというのか知らないけど、あの透明感のあるようなタイコが再現されなかったのは残念でしたが、あれはやっぱりライブでは無理なんですかね。
スクリーンには歌詞とは関係ないようなインディアンのスライドがずっと映し出されておりまして、人によってはこれも何かと結びつけたいといろいろ考えるかもしれませんが、私のようなただのファンはそこまで考えて見ておりません。すんません。
『感動のクライマックス』 曲は「完全真理パートT」「U」と続き、ロジャーはベースを弾かずボーカルに専念。このへんはバック・ボーカルも活躍しておりました。何かを指揮するように後ろを向き両手を動かすロジャー。スクリーンの海底油田を爆発させたあと、両手を広げながら歌うロジャーの姿を見ていてやっとソロ・コンサートのようになっきたと思いましたよ。
20曲目は「勇気ある撤退」。DVDを見るとロジャーはこの曲でギターを弾いているんですが、もうこのあたりは放心状態になってしまいまして、スクリーンの湾岸戦争時の映像などボォ〜ッとして見ていたので、今回もギターだったかなんだかもう覚えておりません。
続く「奇蹟」でもロジャーはベースを弾かず、マイクの前で祈るように歌うその姿にもう感動。歌詞の意味などわからないのに胸がジーンとしてしまうのはなぜだ? この胸に込み上げてくる得体の知れないものはなんなんだ!? 何を歌っているのか知らないオレみたいなハンパなファンまで泣きそうにさせてしまうなんて、ロジャー、あんたはやっぱりすごいよ!偉大だよ!!
30年ぶりに来日したロジャーのソロ・コンサートは22曲目「死滅遊戯」で静かにクライマックスを迎える。
もうこのへんの歌と演奏、ステージ全体に漂う雰囲気というものはもう文章では表せませんね。
日本に来てくれたロジャーにもうただただ感謝するばかりです。
このあとの「狂人は心に」「狂気日食」はよく覚えていない。「狂気日食」の時にロジャーが客席に近づきあいさつしていたような気がしたが、「ロジャー、客に頭なんか下げるなぁーー!」と心の中で叫んでしまった。ここでメンバー紹介。
そして最後25曲目は「コムフォタブリー・ナム」。当初はアンコールでやっていたが新曲をやるようになってからはプログラム上、最後の曲になったようである。東京ではだいたいこの曲で総立ちという感じでしたね。後半ギター・ソロに突入した時は高台のスノーウィー・ホワイトが一瞬ギルモアに見えて思わずホロリとしてしまいました。でも、チェスターと交互に弾くギター・ソロにはやっぱり「違う違う、違うぞぉーー!これじゃ泣けねーんだよ!!」と叫びたくなりましたがね。でも、日本に来てくれたので許しちゃいます。
アンコールは28日は「フリッカーリング・フレーム」(というのかな?)でしたが、なんだかあまり印象に残らなかった曲でよく覚えておりません。30日、31日は「イーチ・スモール・キャンドル」でありました。最後のライターが日本ではパラパラだったのがちょっと残念でしたね。
曲が終わったあと全員並び両手を上げてバンザイしておりましたが、こういうのはちょっとやってほしくありませんでしたね。
日本公演最終日はおまけにもう一発新曲でもやって、もうちょっとロジャーを見ていたかったなと思いましたが、再度アンコールを希望する拍手を無視するように残念ながら客席照明が点いてしまいました。
『あとがき』 ロジャー・ウォータース、30年ぶりの来日はこうして終わりました。最後に何かカッコイイことを書きたかったんですが、どうもうまく書けそうもありません。それはソロ・コンサートなのにあまりソロ曲が聴けなかったのと、3/4を占めたフロイドの曲も良かったのは1部の前半あたりまでで、あとはなんとも違和感のある曲に聞こえたからかもしれません。
フロイドのメンバーやその曲に対する思い入れは人それぞれですから、「これでいい」という人もいるとは思いますが、私はフロイドの曲を少なくしてもいいから、いや、1曲もやらなくていいからもっとソロ時代の曲を聴きたかったです。第2部後半を聴きながらつくづくそう思っちゃいました。
ロジャー、君はソロ・アーティストなんだよ。フロイドの曲は「よそのバンド」にやらせておきなよ、って・・・・・
それでも今は日本に来てくれたロジャーに感謝の気持ちでいっぱいです。
ちなみに演奏のほうは28日が一番良かったような気がしましたが、観客の盛り上がりはやはり最終日が一番良かったような気がしました。
最後に、今回の来日公演は大阪が先でしたが、もし東京が先だったら「奇蹟」と「死滅遊戯」2曲聴くために大阪まで行っていたであろうことを付け加えておきます。
ありがとう、ロジャー。
最後に「See you again !」って確かに言ったよな!!
東京国際フォーラム
2002年3月28日(木) 1階 5列46番
3月30日(土) 1階34列40番
3月31日(日) 1階17列56番
Audience 3500〜4000 (?)X3 ROGER WATERS BASS,VOCALS
ANDY FAIRWEATHER LOW GUITAR,BASS
CHESTER KAMEN GUITAR,VOCALS
SNOWY WHITE GUITAR
GRAHAM BROAD DRUMS
ANDY WALLACE KEYBOARDS
HARRY WATERS KEYBOARDS
NORBERT STACHEL SAXOPHONE
KATEI KISSOON VOCALS
PP ARNOLD VOCALS
LINDA LEWIS VOCALS
Set List ☆ ☆ ☆ 2002/04/03 |