『Pink Floyd in 本門寺』
『狂気』SACD発売記念 5.1chサラウンド・サウンド大試聴会「Pi nk Floyd in 本門寺」へ行って来た。
このイベントはかなり前から東芝EMIのフロイド・サイトで告知されてお り、「なんでお寺で?」というのがよくわからなかったが、私としてはSACDよりも、5.1chサラウンド・サウンド体験よりも 、あの『狂気』が大音量で聴ける!というのを何よりも 楽しみにしていたわけであります。
しかし、日が迫るにつれて「あらら」という状況になってきたのですね。 「一夜限り、夜桜の下に広がるピンク・フロイドの音宇宙」という惹き文句 の通り、これは野外イベントでありまして、「小雨決行」とは言うもののそれは「いっぱい降ったらやらないよ」ということになるわ けで、天気予報など気にして見ておりますとどうも当日は「小雨」どころではすみそうもないのですね。
はたして、当日2003年4月5日(土)は朝から冷たい雨が降り続き、と ても4月とは思えない寒さでありました。それでも、イベント開始時間の6時までにはやむかもしれないと思い、かな り降っていたのではありますが、迷わず東京行きの新幹線に乗り込んだわけであります。 1時ちょっと前に東京駅に着き、「さて、次はどの電車に乗ればいいんだっ け?」とウロウロしていたところへグリーンイズザカラ −さんよりTELあり。
グリーンさんが東芝EMIに問い合わせてみたところ 、「中止にするか、場所を変えて決行するか、3時に決 定する」とのこと。問い合わせTEL番号を教えてもらい、何はともあれ蒲田 へ向かう。
蒲田でUFOさんと3時待ち合わせになっているが、かなり早く着いてしま ったのでCD屋、本屋などでひまをつぶす。もう一本あとの新幹線でも十分間に合ったのだが、田舎者ゆえどこで何をどう間違うかわか らないので、私の場合あまり行ったことがないところへ行く時はこのくらいの余裕がないといけないのでありますね。
3時ちょうどくらいに待ち合わせ場所にUFOさん登場。UFOさんとお会 いするのは初めてだが、まじめで誠実そうな方だなあというのが第一印象でありました。
蒲田には面白そうな中古レコード屋が何軒かあるので、そのへんウロウロし たかったんですが、雨もけっこう降っていて風も強く寒いのでレストランに入り、そこでフロイドがどうした、モー娘。がこうした、な どという話などしておりました。
ここで、試聴会のほうはどうなったのか東芝EMIにTELしたところ、「 場所を境内から屋内に変えて行います」とのこと。「おお 、中止にならなくてそれはよかった」とまずは一安心。
その後もレストランで、「やっぱ、なっちかわいい」などという話で盛り上 がって(?)いるところへはなみずきさんよりTELあり 。「今、池上駅にいるんですけど・・・」というので、UFOさんと一緒に池 上駅に向かう。
UFOさん以外のみなさんとは5時15分に池上駅で待ち合わせということ になっていたんですが、はなみずきさんは数日前に足をケ ガされて本日の参戦が危ぶまれていたにもかかわらず、ちゃんと時間に間に合 うように来たのに寒い中待たせてしまって、すまぬすまぬ でありました。
まあ、普通でしたらこの駅の改札口で他の方を待っていてもいいのですが、 なんといっても雨で寒いので、改札口が見える駅前のマク ドナルドに入り待つことにする。「いやあ、やれやれ」などと店に入ったらそこでエンブリオさん、KENさ んと遭遇。やはり、考えることは同じでお二人もここで待 っていたのでありますね。しかし、わたしゃマック(というのですね)に入る のは初めてで、こういう店内でのルールがよくわからず、オジさんはちょっとあせってしまいました。
ここで再び、「いやあ、やれやれ(汗々)」なんつってアイスコーヒーなど すすっているところへグリーンさんよりTELあり。「今 、蒲田にいるのでこれからそちらに向かいます」とのこと。6時ちょっと前にグリーンさん登場で、これで全員集合。いよいよ「Pは本 門寺にあり」ということで、お寺に向かう。エンブリオさん、KENさん、はなみずきさん、グリーンイズザカラーさん 、UFOさん、PINKの6人でありますが、今回初登場 のUFOさん以外は一年前のロジャー・ライブ参戦メンバーとまったく同じで あります。 今回のイベントは5時30分開場、6時開演の予定でありましたが、会場変 更などでドタバタしたらしく、6時30分開場、7時開演と、1時間遅れとなりました。そのへんはネットのフロイド・サイトでも告知 されていたようであります。
それにしても、夕方にはやむと思われていた雨は6時を過ぎてもいっこうに やまず、風も強く、まさに「吹けよ風呼べよ嵐」状態であります。コンビニで買った400円の傘など吹き飛んでしまうのではないかと いうくらいけっこう強かったです。
寺の前まで来て「わっ、すごい階段・・・まさかここを登って行くんじゃな いだろうな」と思ったら、入り口のところに「朗子会館はこちら」というような案内板があったので、「おっ、こっちだこっち」などと 私が言ったために、一行は寺の右手のほうに歩を進めたの でありますが、全然違うところでありまして、「朗峰会館」と「朗子会館」を 間違えた私のチョンボでありました。
再び門前まで戻り、結局先ほどの階段を登って行くことになりました。それ にしても、この雨、風にもかわらず桜の花は散りもせず、ほぼ満開状態でした。
6時20分ころに朗峰会館到着。入り口のところに「Pink Floyd in 本門寺 『狂気』発売記念 5.1ch サラウンド・サウンド大試聴会」という看板がひとつあるだけで、「エコーズ・ナイト」 の時のようなポスター、立て看板がいっぱい、というよう なこともなく、なんともあっさりとしたものでありました。
こういうところって靴を脱ぐのではなかろうかと思ったんですが、そんなこ ともなくそのままドカドカと中に入り、とりあえずトイレに突入。出てきて、まずは一服・・・と思ったらみんな並び始めたので、その まま列のうしろにつく。
ところが、進み始めたのはいいが階段の途中で進軍が止まってしまった。こ こで20分くらい足止めをくらっていたが「先頭は何やってるんだあ〜」と騒ぐものもいず、みんなおとなしく列が進み始めるのを待っ ておりました。
ここでざっとあたりを見回してみますと、来ている年齢層はわりと低めでありました。20代後半から30代と思われる人が大半で、私のようなおっさん、オヤジはあまりいないようでした。
とーぜん、若い女の子だけのグループで「キャッキャ♪」という ようなのもいなかったのは申すまでもございません。やっと4階(3階だったかな)の会場までたどり着き、あたりをしみじみと 見回して見たが、ネット応募の抽選で当たった人のための 「招待者受付」という机と、青い『狂気』ジャケのポスターがひとつあるだけ で、あまり派手な宣伝などはしていないようでありました 。
やはり、このへんは会場がお寺だからですかねえ。急遽会場となった部屋は、幅20メートル、奥行き35メートルくらいのと ころで、正面が舞台になっており、その真ん中に「南無妙 法蓮華経、なんたらかんたら・・・」と書かれた掛け軸のようなものが、円形 スクリーンのかわりに(?)下がっていました。
アリーナ席(?)には、椅子が横14コ、縦10コ並んでおり、それを取り 囲むようにスピーカーが舞台上に3コ、舞台の下両脇に1コずつ、椅子のうしろ両脇に1コずつの合計7コです。スピーカーの大きさは 、どれも普通のオーディオ用くらいの大きさで、「エコー ズ・ナイト」の時のような1m以上もあるようなスピーカーはなかったです。 スピーカーには「RAMSA」と書かれておりましたが、他のアンプ、プレーヤ−などはメーカー不明であります。
開演前は前のほうのスピーカーから調子の良いお経のようなものが流されて おりました。他には、バリライトのようなものが6基と、なんだかよくわからない照明装 置のようなものが2基舞台の上に置いてあります。
着席は、まず抽選に当たった人から先に好きなところに座り、そのあと他の 客が空いているところに座っていたようです。ほぼ全席が 埋まり、他に立って聴いていた人はあまりいないようだったので、本日の入場 者は150人くらいしかいなかったのではないかと思われます。まあ、雨のおかげで立って聴かなくてすんだというわけですね。
ちなみに抽選に当たった人には『狂気』ジャケの三角プリズム・バッジのプ レゼントがあり、グリーンさんは当たったのですがペアの相手がいなかったので、隣の席ははなみずきさんに座っていただき、1個あま ったバッジは私がいただきました。うれしい〜!
そんなこんなで7時になり、主催者のあいさつがテープ音声で流されたあと 、協力の「イキイキ推進委員会」の委員長(坊さん)のあいさつがありましたが、先ほど流れていたお経のようなものは「梵鐘」という ものであり、本当はこれを野外で聞いていただきたかった、と言っておりました。そして、あいさつも終り、『狂気』大試聴会のスタートとなりました。
部屋の明かりが消えて、バリライト2基(×2)でうっすらとハンマー・マ ーク(?)を照らし出して、イントロの心臓の音が聞こえてまいりました。もう、のっけから「どっひゃあ〜」って感じかなあと思った んですが、わりとおとなしいめの心臓の音で、次の「生命の息吹」も「うん、こんなもんかな」って感じでしたね。
3曲目の「走り回って」になってようやく「お、これが5.1ch サラウン ド・サウンドか」って感じになってまいりました。なんか音がぐるぐると回り、前から聞こえているのか、後ろから聞こえているのかわ からないというような時もあり、「おお、これはすごい」ということになってきたんですが、照明のほうはあくまでもほんのりと淡い光 を投げかけているだけで、こちらも音に合わせてぐるぐる回るというようなことはありませんでしたねえ。
「走り回って」はよく聴くといろんな音がいっぱい入ってる曲なんですが、 なんかそれまで聴いたことのないような音、笑い声まで聞こえたような気がした。とくに最後のころ・・・
続いては「タイム」なんですが、これはもう初めて聴いた『狂気』にこの曲 が入っていなかったら、その後もフロイドを聴き続けたかどうかわからなかった、というくらい大好きな曲でありまして、イントロのタ イコを聴いただけでやたらコーフンしてしまい、どんなふうに聞こえたかはっきり覚えていないというのが正直なところであります。
な んか、建物の構造のせいか音がやたらビビッていたような気がいたしました。 次の「虚空のスキャット」は、人によってはこれが一番という人もおります が、わたしゃこの曲はあまり好きではないので、ここでちょっと一休みしていました。すまぬ。
「マネー」ではイントロのチーン、ジャラジャラ、ガッチャア〜ン・・・が あっちこっちから聞こえてきまして、「おお、これは対ツアーの時とおんなじだあ」と、あの時を思い出しカンドーしてしまいました。 これって、昔の4chの時もこういうふうに聞こえたんですかねえ? あれ・・4chって『炎』はあったような気がしたけど『狂気』 はなかったっけ?? ま、いずれにしても「マネー」のイントロは5.1chの本領発揮って感じ でしたね。
「アス・アンド・ゼム」は、う〜ん・・このへんはよく覚えておりませぬ。そのあとの「望みの色を」「狂人は心に」「狂気日食」は、普段あまり聴か ないんですが、こういうシステムで続けて聴くとやはりゾクゾクしてしまうものがありますね。
昔(LP時代)「『狂気』B面後半の凝 縮力はすごい」という評価をよく読んだことがあったんですが、なんかやっとそれがわかったという気がしましたよ。
違うシステムで聴くたびに新たな発見がある『狂気』って、やっぱりすごい アルバムなんですねえ。これを20畳くらいのオーディオ・ルームでいつでも聴きたい時に聴ける人もいるんだろうなあ。ちっくしょお 〜。。
というわけで、5.1chサラウンド・サウンドなどというものは初めて聴 いたもんだから「こりゃ、すごいやあ」くらいのことしかわからなくてとてもまともな感想など書けないんですが、それよりも何よりも 『狂気』が大音量で聴けた!というただそれだけで大試聴会は大満足でありました。
まあ、『狂気』1枚聴くだけですから8時前には終わってしまい、なんか「 あっ」という間でしたね。他にも何かやるわけでもなく、フロイド・グッズの売店があるわけでもないので、あとはもう帰るだけです。
欲を言えば『狂気』1枚聴いただけではどうも物足りないので、SACDじ ゃなくてもいいからこのシステムで『炎』とか『壁生』を聴いてみたいなあ、なんて思いました。
帰りがけに、1階ホールに2〜3枚貼ってあった青い『狂気』ジャケのポス ターをなんとか入手できないものかと、係員に交渉しようとしたら、すでに1人かけあってる人がおりましたが、どうも「だめだよぉ〜 ん」と言われているようなので泣き泣きあきらめました。
8時を過ぎてやっと小降りになったとはいえ、まだしつこく降り続く雨の中 を『狂気』試聴会参加御一行様は、また池上駅へ戻って行きます。
ハラもへってきたので、駅の近くのイタリア料理の店で食事をしてい くことになりましたが、今夜来客があるというUFOさんはここで先に帰られました。
それにしても、マックすら入ったことがなかった私は、イタリア料理の店な んて本当〜に初めてでありまして、「そそうがあってはならぬ」と椅子に座る前からもう緊張しっぱなしであります。
それでも、「これが初めて」というのは他のみなさんに悟られてはならぬと 思い、緊張しながらも冷静さをよそおっていたつもりではありましたが、文字だけのメニューを見て「うっ・・・もはやこれまで・・・ 」となってしまったのであります。
いや、あのね、日本語では書いてあるんですが、それがどのような料理であるのかまったくわからな いのでありますよ。いや、ホントに・・・
しかたなく、メニューを見ていたグリーンイズザカラーさんに「これはどの ようなものであるのか? して、こちらは??」などと聞きながら、なんとか注文することができたというわけであります。
しかし、こういう時でもないとこういう店に入ることもないのでこれも貴重 な体験と、事あるたびにお付き合いしてくださるみなさんにはいつも感謝している次第であります。
というわけで、料理を待っている間も、食べてる間も、「デイブのギターが どうの・・」「いや、あれはスノーウィー・ホワイトが弾いているのよ・・」などという話が飛び交い、夜は更けていくのでありました 。
その後、池上駅でKENさん、グリーンイズザカラーさん。東京駅でエンブ リオさん、はなみずきさんと別れたあとは、とうに新幹線もなくなり鈍行でのんびり帰ってきたというわけであります。
ウチの近くまできて、ふと気づいたら雨もやんでおりました。
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