『OFF THE WALL 〜 PINK FLOYD SPIRIT』

【やっと来日】
去年の秋頃から待ち続けていた『OFF THE WALL 〜 PINK FLOYD SPIRIT』なるUKプロジェクトの来日コンサートがやっと始まったので、川口リリアホールまで行って見てきた。
ちょっと早めに出かけたので会場には5時ちょい過ぎには着いてしまった。開演は6時半なので、それらしい客はまだ誰もいない。
会場内をウロウロしてみたのだが、壁には各種催し物のポスターなんぞがあちこちに貼ってあるのだが、肝心の本日公演の OFF THE WALL のポスターとかはどこにも見当たらない。メインの入り口になるらしいあたりに「当日券は17:30販売開始です」という貼り 紙が1枚あるだけで、なんとももの淋しい。
開場間際になってやっと行列ができたが、それも100人程度で、たいした混雑もなくすんなり入場。なにはともあれグッズ売り場に直行するが、他の人たちはあちこちにかたまり開演を待つばかりで、売り場には5〜6人しかいない。いないはずだよ。TシャツとDVD、CDしか置いていない。オレの横にいた30代くらいの女子は「パンフレットがない」と言って怒っていた。まあ主催者もあまり売れないだろうと思って少数しか用意しなかったとみえて、昨日の国際フォーラム公演で全部売り切れてしまったらしい。「そういうのって、もっと用意しておかなくちゃダメでしょ」って、いやまったく、「そうだそうだ」ってオレも怒ってきた。
ま、ないものはしょうがないのでTシャツとDVDを買う。しかしあれだな、札幌も含めて7回やるのに初日で全部売れてしまったって、それはないだろう。きっと、ここは都心よりちょいはずれているのでここまで持ってこなかったんだろう。あるはずの帽子もなかったし。ちっくしょお〜、差別だっ!
【ガラガラ】
とまあ、これ以上ここでねばってもしょうがないので、あとはもうさっさと会場の中に入る。オレの席は1階のど真ん中あたりで、まあそんなに悪くはない。あまり広いところではないので、もっとうしろでもよかったかなって感じ。
で、客の入りはというと、これはもうガラガラ。オレより前の席ですら1/3、いや、半分近くは空席があった。かえってオレよりうしろのほうが入っていたかも。2階席、3階席はオレのところからは見えなかったが、おそらく空っぽだったのではないか。ここのキャパは約2000席であるらしいので、たぶん1000人くらいしか入っていなかっただろう。
駅からもよく見える建物の外にでもでかでかとカンバンとか出しておけば知らなかった人も来たかもしれないのに、これはもう宣伝不足としか言いようがありませんな。当日券売り場にも行列とか全然できてなかったし。まあ日本じゃ「あんた、いくら宣伝してもピンク・フロイドじゃ、そりゃあ・・・」てな声も聞こえてきそうだが。
なんだか、前売り券よりも当日券のほうがいい席が買えたような気もするが、そんなの前もってわからんし、いつぞやのELPの時は余裕でかまえていたら売り切れで大あわてしたので、どうしても見たいものはやはり最初から用意しておいたほうが間違いなかろうという気もするので、まあ良しとしておこう。
客の年齢層は、30〜40代あたりが一番多かったかな。女子もけっこういたような気もした。50代以上と思われる方々もわりと目立っていたが、10〜20代前半あたりは数えるほどしかいなかったような・・・
【ステージセットは?】
ステージに目を移すと、そこには楽器、器材などが置かれているわけだが、目立つのは円形スクリーンくらいのもので、ものものしいステージ・セットという感じはまったくない。唯一存在感を放っているその円形スクリーンも、せいぜい3メートルくらいのもので、鬱ツアー(対ツアーではない)の時に出てきたミラーボールよりもちょっとでかいかな、くらいのものであった。
まあ、ステージ自体があまり広くないので、ここに対ツアーのミスター・スクリーンを置いたらそれでもう終わり、って感じなので、これはまあ仕方なかろう。
で、その円形スクリーンには開演前は「OFF THE WALL PRESENTS THE SPIRIT OF PINK FLOYD SHOW」という文字が見られた。今回のイベントは、どれがバンド名で、どれがツアー・タイトルなのかよくわからなかったが、どうやら OFF THE WALL というのがこのバンド名であるらしい。
今回のこのプロジェクトは、オーストラリアやヨーロッパのコピー・バンドみたくそれを本職としているのではなく、スタジオ・ミュージシャンみたいのがなんとなく集まり期間限定でやってます、という感じもするのだが、バンドについてはあまり調べたりはしていないのでようわからん。
【開演】
とまあそうこうしているうちに、定刻を5分ほど過ぎた6時35分、客電が落ちいよいよショーのスタート。ステージにスポットライトが当たると、そこには6人のメンバーが斜めにかまえて立っている。う〜ん、なんだか映画のワン・シーンを見ているようだな。
再び照明が消え、それぞれの配置につくと、おお、風の音が・・・ そう、オープニングは「吹けよ風呼べよ嵐」である。イントロのベースにイマイチ迫力が感じられないが、大音量にごまかされついつい「おお、いいぞいいぞ」となってしまう。いや、まあブタは出てきませんでしたが。
と、よく見たら、メンバーの中に1人女子がいる。スチールペダルはねーちゃんであった。とはいっても、限りなくおばちゃんに近いねーちゃんではあったが・・・
照明のほうは、絶対数が足りないながらもそれなりにがんばっているので許してやろう。それにしてはチケット代がちと高かったような気もしないでもないが・・・
2曲目は「戦争の犬たち」。ここで全メンバーが出揃ったが、ボーカルが別にいた。声はギルモアにちょっとだけ似てるかも。メンバーの立ち位置は前列左から、ギター&スチールペダルのおばちゃん、ボーカル、ベース、ギター。後列は左から支援歌手女子2名、パーカッション&サックス、キーボード、ドラムスの総勢9名である。なんとなくキーボードの人がリーダーのような気がする。支援歌手2名は、どちらかといえばまあ若いほうで、ミニスカなのがうれしい。でも、もうちょっと短くてもよかったかも。んで、前列だったらそれだけで元はとったという気がしたんだがなあ。
続いては「幻の翼」。イントロのパーカッションがイマイチだが、あとはよくがんばっていた。スクリーン映像は戦闘機や、それのコンピューターゲームのようなものを映していたが、やっぱ本物は使わせてもらえなかったのね。
「タイム」では、やはりイントロのタイコに小気味よさが感じられないが、間奏のギターはまあまあであった。ちなみに、イントロのトコトコはベースではやっていなかったようである。
それにしても、これは対ツアーと比べてはいかんとわかっちゃいるんだが、やっぱ照明が物足りないのう・・・
【「エコーズ」短縮しすぎ!】
さて、次は「エコーズ」である。最初の「ピィーーン」が「ピ〜ン」なのは残念だが、そのあとはまあまあ。と、思っていたら、なんとまあボーカルが支援歌手であった。こりゃいけませんな。それでもこの曲はボーカルの出番はあまりないのでミニスカに免じてカンベンしてやろうと思っていたら、前半のボーカルのところで終わってしもた。何かのトラブルで演奏をやめたというのではなく、最初から「エコーズ」はここまで、というような終わり方であった。これはちょっとじゃなくかなり残念。
次は「マネー」。イントロの「チーン、ジャラジャラ」が一応あっちとこっちで聞こえていたが、これはさすがに対ツアーの時のように四方八方からというわけにはいかなかったようである。
このあとの「ヘイ・ユー」は・・・ あれ・・ なんか記憶が飛んでる。たしか間奏の時にボーカルがライトを持ち出してきて客席を照らしていたような・・・
次の「ラン・ライク・ヘル」でやっと「おおっ!」となったが、これもイントロがもうちょいだったなあ。それでもまあこの曲はライブ映えのする曲なので、ここで客席も少しは盛り上がっていたかな。だが、とーぜんながら立ち上がる者は誰もいない。
オレの場合、コピー・バンドの演奏は、いかに鬱&対ツアーの時の演奏に迫れるかというところに重点を置いているので、他の人とは違った見方聞き方になってしまうというところがあるのだが、この OFF THE WALL は、どうも曲の入り方がもうちょいという気する。イントロをびしっと決めればけっこういいとこいくんだけどなあ。
【第2部?】
「ヘル」が終わったあと、場内暗くなったままでちょっと間があき、ここからは第2部ね、てな感じで「クレイジー・ダイアモンド」のイントロが鳴りひびいてくる。お、この入り方はいいかも。ギターもなかなか。鬱&対ツアーではギルモアが飛ばしてしまったフレーズもちゃんと弾いていた。例によってスクリーンにはシドの映像が。
「クレイジー・ダイアモンド」には鬱ツアー・バージョンと対ツアー・バージョンがあるが、ここでは対ツアー・バージョンである。おお、こりゃいいわいと見ていたら最後はサックスにぶち壊されてしもた。
次の「ヤング・ラスト」もなかなかよかったのだが、ここでもサックスが割り込んできて邪魔するし、どうもこのサックスは『光』のスコット・ペイジより目障りである。
次の「アス・アンド・ゼム」では、円形スクリーンにチャーチルとかヒトラーを映し出し、ここでも対ツアーをパクっているあたりは笑ってしまった。ここからは『狂気』後半の通り「狂気日食」まで演奏していたが、このあたりの演奏が一番よかった。
終わったあとは、知らない曲を演奏しながらメンバー紹介などやっていた。なんとなくコンサートも終わりに近づいていることを感じさせる。
このあと「虚空のスキャット」までやっていたんだから、どうせなら『狂気』全曲やって、まんま対ツアーのセットリスト通りにやればよかったのにねえ。「虚空のスキャット」はミニスカ支援歌手の独壇場かと思ったら、なんとスチールペダルのおばちゃんが1人でやっていた。まあ鳥肌が立つほどではなかったがちょっとよかった。
でも、次の「あなたがここにいてほしい」でのおばちゃんのアコギはちょっとひどかったんでねえかい、であった。この時スクリーンに映し出されたシドとリックの映像にちとしんみり。ここで場内大合唱にでもなればエンディングに向けて最高の盛り上がりになったのだが、さすがにそうはなりませんでしたねえ。
【待ってました! とはならず】
ここでちょっとあいさつがあり、次が最後であるらしいようなことを言っていた。ボーカルが「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォ−ル 2」の最初の2小節を観客に歌わせようと歌唱指導するが、観客のノリはイマイチ。それでも本番ではなんとかみんな歌っていたようである。
ここまで、フロイドがライブで使う映像は使われていなかったが、この時だけハンマー行進の映像が使われていた。
しかしあれだな、そろそろ終わりだし、ヘリコプターの音が鳴ってきたあたりでみんな「待ってました!」とばかりに前のほうから総立ちになっていってもおかしくないのに誰も立たないというのはいったいどうしたわけか。対ツアーで誰に指示されたわけでもないのに申し合わせたようにここで総立ちになったのが、ああ、昨日のことのように思い出されるぅ。
アンコールは「コムフォタブリー・ナム」である。イントロがちょっと軽かったが、なかなかいい感じ。そして大注目の後半ギター・ソロ突入だが、これは良かった。おお、よしよし。やっと最後で決めてくれたな。と気分よく見ていたらなんとまあ途中からサックスが乱入。なんで「ナム」のギター・ソロにサックスが出てくるんだよっ! ここで出てくるのはサックスじゃなくミラーボールだろうが。
と、最後までサックスに邪魔された「THE SPIRIT OF PINK FLOYD SHOW」でありました。

【あとがき・・・のようなもの】
ということで、まあなんだかんだと言いながらも、コンサートといえばフロイド関連、ELP関連しか行かないオレとしては、今回のOFF THE WALL はけっこう楽しめたライブであった。
演奏はイントロをうまく決めればもっとよくなったと思う。音的には、あまり広くない会場での大音量だったので、良かったのか悪かったのかオレにはよくわからない。少しビビッてはいたがまあ悪くはなかったと思う。なんつってもコンサートなどめったに行かないので、こういう会場での音の良し悪しはわからないというのが正直なところである。
それよりも何よりも、フロイドの曲が大音量で聴けたというだけで、もう音的には文句はない。
照明はバリライトやレーザーの数が少ないわりにはよくがんばっていたと思う。これで、あの円形スクリーンの周りに付いていたバリライトの動きをもっと器用に複雑にすればよかったのだが、これがちと単調だったような気がした。って、これはフロイドみたいにそう簡単にはいかないのかな。演奏中は常時スクリーンに何かの映像を映し出していたが、これもバリライトでいろんな模様を描けなかったので映像に頼らざるをえなかった、というような気もする。
最後「ナム」の時に、円形スクリーンをぶち破ってそこからミラーボールでも出てくれば大喝采だったんだがな。
サックス奏者はわりと若いメンバーで、他にもパーカッションやコーラスなどをやり大活躍だったのだが、ちと活躍しすぎたかな。
ま、なんにしてもそれなりに楽しめたので一応は満足である。都内在住だったら3回くらいは見たかったコンサートである。
客の入りの悪い日本に来てくれたことをバンドのメンバー、スタッフに感謝したい。
2009,03,16
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2009年3月14日(土)くもり
川口リリア・メインホール 1階17列31番
Audience 約1000人(?)
Started at 18:35
Ended at 20:35
〜 Set List 〜
One Of These Days
The Dogs Of War
Learning To Fly
Time
Echoes
Money
Hey You
Run Like Hell
Shine On You Crayzy Diamond
Young Lust
Us And Them
Any Colour You Like
Brain Damege
Eclipse
The Great Gig In The Sky
Wish You Were Here
Another Bric In The Wall Part2
(encore)
Comfortably Numb
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