〜PINKオヤジの客間〜
今回のお客様はuna_masさんです

「エジプトとイスラエルでのこと」
by una_mas

 4月にかみさんとエジプトとイスラエルを周る旅行に行って来ました。そのときのことを少し書きます。

4月某日

 先ず成田からロンドンに行って、飛行機を乗り換えてカイロに向かうということになっていた。ロンドンに着いてからカイロに行く飛行機が出るまでの間が1時間ということで、「みんな固まって急いで付いて来てください」と添乗員のおねえさんに言われて、みんな(12人+添乗員)素早く行動したのだけど、ゲートに行くと既に(何と!)飛行機は出てしまったという。しかもこのカイロ行きは1日1便しかないということで我々はロンドンで足止めとなった。
 
4月某日

 英国航空が指定したホテルにその晩は泊ったのだが、私はこの晩どおんとクダってしまう。添乗員さんに漢方薬をもらって何とか持ち直すが結局ほぼずうっと旅行中私はくだったままであった。
 さらにその晩、非常ベルがなった。実際にホテルの何処かでボヤがあったらしく、非難したお客もいたらしいが、私(およびかみさん、ツアーで一緒の人たちの大半は「なんだなんだ」といいながらも部屋から出なかった<全くのんきなものである    昼間はクルマでロンドン市内観光となった。
 特筆することは(私には)無かったが敢えて言えばハイドパークの横を通ったことだろうか。
  「ここでキング・クリムゾンはライヴをやったのかあ。そおかあ」と私は心の中で密かに盛り上がっていたのだが、無論そんなことは誰も知らないのだ。
 あ、もうひとつあった。「壁生」の看板を確認したことである。間近に見た訳では無いので大きさはよくわからないが、ビルの屋上にある看板(ビールとかタバコとかの)程の大きさはあったと思う。3箇所で確認して「よしよし。ロンドン市民はただちにレコ屋に行くように」と私は呟いたのだ。

4月某日

 とかなんとか言いながら翌日はカイロの裏通りを歩いていたりするのだが(無論一人ではない)、今回の旅行における大切なしかし隠された目的のひとつがカイロにあった。
 今年の元旦、ピンク・フロイドがミレニアム記念ライヴをカイロのピラミッドの前で行なったという話しがあった。そのときのブートヴィデオならびにブートCD・テープを私は是非ともゲットしたかったのだ。しかもピラミッドの近くには何かのイヴェントのセットらしきものがあるではないかっ!
 で結局どうだったのかというと、ピンク・フロイドのライヴなんて無かったようなのだ。エジプト人のガイドさん(日本語がすごくうまい)の「ああ、あれは“アイーダ”のセットですね」の言葉の前にがっくり肩を落とす私であった。そうなのだ、実際にそんなものがあったらわざわざカイロまで出向かなくてもとっくにブートCDやらヴィデオになっている筈であろう。第1、1月にやったライヴのセットが4月までそのまんまであるわけもないよなあ、なのであるがそんなことにもやっとその時に気付く間抜けな私であった…。
 しかも、本来カイロ、シナイ山あたりを3泊してまわるところをロンドンに寄ってしまったので(寄りたかった訳じゃあないけど)、2泊でまわらねばならずエジプトではレコ屋に行くことは出来なかった。何軒かのお土産屋さんにもCD・テープのたぐいは無かった<再びがっくり…

4月某日

 カイロからシナイ山へ向けてシナイ半島を移動して、午前1時半に起きてシナイ山に登って、降りて、海沿いの道路を通って陸路でイスラエルに入る。
 入国の際、私について若干の質問が添乗員になされたらしい。
 「あのガイは何だ。随分若そうだが、えっ?かみさんもいるのか。写真の人物とほんとに同じなのか?うーっむ」
といったことで“怪しい二人組み”と思われたらしい。結局入国時にグループのうちの何人かは荷物の検査があるだろう、ということであったが、めでたく私とかみさんの荷物も検査されることになった。
 機械を使っての検査(いつまでも機械の中に入っていてなかなか出て来ない)の後、さらにスーツケースも開けてみせるのである。
 
4月某日

 前日にイスラエル入国を果たし、これからイスラエル国内をまわるのであるが、最初に泊った死海沿岸のホテルの売店にはめぼしいCDは無し<ご当地ソング集のようなものしかなかった<そういうのはもう持っているのだ
 
4月某日

 ガリラヤ湖の近くのホテルでは売店そのものが無い…<エルサレムに賭けるしかない…     
4月某日

 エルサレムのホテルにレコ屋があった!カセットテープ、CD、ヴィデオも置いている。
 夕食後、ただちにGO!
 先ずカセットテープを物色する。イスラエルのトラディショナルミュージック、ユダヤ教のお祈りが入っている(らしい)もの、イスラエルで長く活動している(と思われる)女性二人組みのもの…、欧米のロックバンドは無いようだ。
 店の店員のおにいさんに女性二人組みのテープの値段を聞くと、彼は「どんなのが欲しいのか?」と聞いて来た(ようである)。私が「イスラエルのロックバンドとかさ、ポップシンガーとかさ…」と答えると、すっと1枚CDを出して、「これは’80〜’90年代のイスラエルでのヒットソング集である。これはいいぞ」と言った(ようだ)。
 私は「よし、それをもらおう」と答えてから、先ほどの女性二人組みのテープの値段を再度聞いた。すると彼は一言「あれはよくない。あなた向けでは無い」ときっぱり言い放ち、ほんとにもうにべもないのである<おにーさん、あんた商売してんのか?結局この日の収穫はイスラエルのヒットソング集1枚のみであった…  

四月某日

 昼間昼食をとった建物の中にレコ屋があったのだが、ちらりと見る位の時間しかなかった<ここにも「壁生」はちゃんとあったのは確認。「狂気」や「原子心母」もあった。
 スケジュールが終わってホテルに戻ってから夕飯の時間迄の間に添乗員のおねーさんに教えてもらい、近くのレコ屋にGO!
 あった!レコ屋である。其れ程大きな店ではないが並べてあるCDは少なくはないようだ<関内のディスク・ユニオンの2階売り場位の規模といったところか。
 細かいところまでは見てないがクラッシックのCDもかなりの量であった。
 しかし、そっちはそのくらいで、先ずジャズのコーナーからチェック!
 どうも日本とさほど変わらない品揃えであった。さすがにマイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンといった人の作品はたくさんあったがマイルスなどはあらかた私も持っているものであったので、特に欲しいものはなかった。
 続いてロックのコーナーに移る。
 ここでチェックしたかったのは、「ピンク・フロイドやキング・クリムゾン等のCDにイスラエルプレスのものはあるのか?」ということである。
 「タイトルや曲名がヘブライ語で表記されている「狂気」や「壁生」、「宮殿」などがあったら是非捕獲したい」と思っていたのである。
 それで結果はどうだったかというとイスラエルプレスのものはなかったのである。
 見たところ、こっち方面はそれほど品揃えは良いとは言い難く、また並んでいる全てをチェックした訳ではないけれど、私が見た範囲ではほとんどドイツやイギリスなどのプレスであった。
 「壁生」も目立つところに置かれていたが、それは少なくともイスラエルプレスではなく、従ってヘブライ語で表記されているものではなかった<再びがっくりである…
 がっかりしても何なので店のおにーさんに質問した。「ん、えー、I want CD ,うーん、progressive rock band んー、CD, pink floyd ,king crimson,yes…」とかなんとか。おにーさんは「うん、知ってるぜ」とかなんとか言いながら1枚持って来るとその場でセロファンを破ってしまったのである。こっちはびっくりだ。「まだ買うとも何とも言ってないぞ」なんて英語は即座には出て来ない。その間に試聴用のプレイヤーのそいつをセットしたおにーさんはヘッドホンをおれに渡す。聴いてみろと言っているようだ。
  「ステラマリス」というバンドである。関係無いけど「ステラマリス」って確かラテン語かなんかで「海の星」といった意味であったと思う。聴いてみるとこれはバリバリのヘヴィー・メタルであった。1曲聴いてこれは辞退させていただく。
 こんなことをやって、このCDを2枚捕獲した。プログレかどうかよくわかんないけど、気をひかれるものをゲットして、ホテルに戻る。
 ホテルに戻って夕食後、今度はホテルの中のレコ屋に再度行く。今度の目的はイスラエルのトラディショナルな音楽のものだ。店のおにーさんに聞くがなかなか話しは進まない。まあなんとかそれらしきカセットテープを2本購入する。一緒に並んでいるおじさんの写真のジャケになっているテープを見ていると、どうもユダヤ教のシナゴーグでのお祈りを収めたものらしい。そのうちの1本をおにーさんは強力におれに勧める。おにーさんは「これはいいぞ。おれのお気に入りだ。イッツ マイ フェイバリット!」。とにかくもうそのテープを買わねばならないような感じなのだ。まあ私も関心があったんでゲットしたけど、おにーさんのフェイバリットを買うためにわざわざここまで来たんじゃないんだけどなあ…。この日の収穫は某教会の売店で買ったCD1枚、レコ屋で買ったCD2枚にホテルで買ったカセットテープ3本。おっと、それからレコ屋でもらった無料サービスのカセットテープ。
 
4月某日

 イスラエル最後の日である。スケジュール終了後、レコ屋に再度行く。イスラエルのミュージシャンのコーナーをいろいろ見る。オレンジパワーさんのところできちんと調べさせていただいておけばよかったなあと痛感するがもう遅い。ジャケを見て何枚かレジへ持っていき、おにーさんに「これどんな内容なの?これは?これは?」といった調子で質問しながら選ぶ。このとき買ったものの一枚に「これはエレクトロニクスだ」と言われたCDがあった。てっきりテクノっぽいものかなあと思ったが帰ってから聴いてみるとまるでテクノではない。まあロックで電気楽器は無論使ってはいるんだけどねえ。それはさておき、このときは4枚ゲットした。お金を支払って、「明日日本に帰るんだ」と言ったら、昨日くれたサービスのカセットテープをもう1本くれた。    

4月某日

 エルサレムからバスでテルアビブまで移動して、ベングリオン空港を飛行機が発つのが午前8時何分とかだという。イスラエルは入国時のチェックも余所よりも厳しいが、出国時はさらに厳しい。一人づつそれぞれのスーツケースを開けてみせなければならないのだ。我々はツアー客だからそれで済むが、個人の客の場合はさらに厳しく、私の目の前で西洋人の夫婦者はスーツケースの中身を全部出されてしまっていた。また旦那の方はそれをしまうのに困難を極めていたようだ。場合によっては別室で服を脱がされて調べられてしまうこともあるという…。それだけやっているためか、まあベングリオン空港から飛んだ飛行機がハイジャックされたことはないそうだ。
 そんなんで集合・朝食は午前3時である。しかもその前日からイスラエルではサマータイムになって時計を1時間進めていたりするのである…
 うろうろして探したけどベングリオン空港にはレコ屋はなかった<見付けられなかった?
 えいやっとイスラエルを発ち、はどっこいさっとロンドンに着く。待ち時間にレコ屋へ行く。実は何だか「ファイナルカット」のフレーズがときれとぎれに頭の中を回っていて気になっていたのだ。私が持っているのは途中で針飛びするレコードなので、この際にCDを買ってしまう。まだ時間があったのでフィッシュ&チップスを食べようと思ったのだが売れきれであった。
 
4月某日

 そんなこんなで日本に帰って来た。
 何だかレコ屋探しばかりしていたように思われるかもしれないが、他のところも見てきたのだ、念のため。
 以前エジプトでセロファンの封を切ったのをそのまま普通に売っているのを初めて見たときは驚いたが、イスラエルも似た様なものであった。封のしてあるCDもあるがないものもあった。
  ついでに言うとエルサレムのレコ屋ではCDをいろいろ手にとって触っていると、手がざらついてきた。汚れているのか、国土の6割が荒地であるためか、単に店の前の道路で工事をやっていたためかはわからない。
  次に出掛けられるのはいつだろう…  

2000/06/23 una_mas

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