1.【タイ という国】
タイは全体で4つの部分に分かれる。一つは北部であり、もう一つは中央部であり、もう一つは南部であり、4番目は東北部、タイ人によればイサーン地方である。国名は「THE KINGDOM OF THAILAND」(タイ王国)であるが1932年以降日本と同様立憲君主制である。カンボジア、ラオス、ミャンマー、マレーシアの4国と国境を接し、面積は51万3千km2で日本の1.36倍である。
人口は8000万人、国民の95%が仏教徒、国民の8割がタイ族、国民の7割が農業従事者である。激動の20世紀に独立国を守り通した数少ないアジアの国である。
その首都バンコクは中央部タイ湾の奥、北緯14度、東経101度に位置し公称600万、実勢800万人、チャオプラヤ河に囲まれたその大都会は「クルンテープ」(タイ語で「天使の都」)と呼ばれる。
1782年チャクリー朝ラマ1世がチャオプラヤ河対岸のトンブリから都を移したのが始まりで、以後バンコクはチャクリー朝と共に歴史を重ねてきた。現国王のチャクリー王朝ラマ9世 プミポン アドゥンヤデート国王陛下は1946年の即位以来56年に渡り在位され仏教の最高僧位者かつ国軍の最高統帥者であり神聖不可侵の元首としてタイ国民の絶大なる尊敬を集めておられる。
信仰の自由が認められているものの国民の95%は仏教徒で正確には南方上座部仏教という戒律の非常に厳しい仏教に帰依している。国内総寺院数3万以上、僧侶30万人以上の規模である。その最高僧位に立つのがプミポン国王で王宮寺院ワット・プラケオのエメラルド仏の季節毎の衣装着せ替え儀式も国王ご自身が行われる。国民はほぼ全員が非常に信心深く心の底から仏教を信仰しており毎朝の僧侶の托鉢には驚くほどのお布施が施され、後からそれを持ち運ぶ小僧がお坊様一人一人に付いて回るほどだ。
特に女性は僧門に入ることを許されず、その為 息子が僧侶になることを最高の栄誉としているし、その分お布施やタンブン(徳を積むこと)には女性の方が熱心のように見受けられる。
気候は北・東北・中部は熱帯サバンナ気候で南部は熱帯雨林気候である。暑期、雨期、乾季とあり、要は暑いか、メチャメチャ暑いか、死ぬほど暑いかのどれかだ。最高気温は37.6℃、最低気温は13.2℃年間降水量は1756mmで日本より300mmほど多い程度だ。思ったほど降水量が多くないのは乾季の3〜4ヶ月は全く降らない為である。国民は総じて明るく陽気で屈託が無く「サバーイ(気分がいい)」と「マイペンライ(気にしない)」の精神を重んじる人たちだ。この国は別名「微笑みの国」と呼ばれるくらいみんなにこやかで、それはタイ人に対してだろうと日本人に対してだろうと、はたまた欧米人に対してだろうと関係ない。タイの人々はいつも素敵な笑顔を我々に投げかけてくれる。
タイとかバンコクと言うとリゾート島プーケットかオカマか首長族が有名なジャングル、位にしか一般的に認知されていないが中央部には大都会バンコクを含む大平野が広がり国土は豊かで陸は農産物海は魚介類が非常に豊富に獲れる。日本のスーパーに並んでいる海老はタイ産の物が多いというくらい海老は良く獲れるし、果物は日本とは比較にならないくらい種類が多く美味くかつ安い。タイ料理は最初痛いくらい辛いが、慣れて来ると辛さが一つの味になり、痛さと辛さで判らなかった微妙な旨味というか味のハーモニーが分って来る。但しパクチーという香草については特に日本人は好き嫌いが分かれるようだ。以前日本の米が不作でタイ米を輸入し酷評を買ったことがあったが、あれは与党が日本米保護の為にタイ人でも食べないような不味い古古古古米を送らせた為で、本当のタイ米はパサパサするもののカオパット(焼き飯)にすると非常に美味しい。
国会は直接選挙制の上院と小選挙区比例代表並立制の下院からなる2院制である。但し政治は不評で現政権のタクシン首相は民間出身の改革派、とは言うものの一般的に政治家はみんな袖の下を得る事しか考えていないので何時まで経ってもタイの政治は良くならない、と友人は話していた。世界の政治透明度ランキングではタイの順位は非常に低く、国民の政治への期待も低い。実際傍から見ていてもタイの政治の方向というか政策の決まり方は今ひとつ論理的とも思えないし国民の総意が反映されているとも思われない。
また、日本ほど相続税が高い国は他に例を見ないが、タイも相続税が殆どなくお金持ちはいつまでも恐ろしいくらいお金持ちだし貧乏人はいつまでも貧乏人だ。それでもタイ人がいつも明るいのは政治による物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求めているからだと思う。