10.【終焉、そして...】
こうして2002年4月10日のバンコクでのロジャー・ウォータースのライブは終わった。
音楽的内容では前半の「炎」あり「豚」あり「壁」あり、おまけに「神秘」ありのロジャーについては一ファンとしては非常に嬉しくかつ感動を持って聴かせて貰うことが出来た。が、今回のロジャーのライブは最近のFLOYDライブを見たことのある人にとってはバリライトも巨大ミラーボールもない事に不満な方も沢山居られたとも思う。しかし本当にそうあるべきなのだろうか?これはロジャーのライブなのだ、これで良かったのではないか。そういうのはFLOYDにやってもらえば良いし、ロジャーはロジャーのライブをすると言う事で徹底すればなお棲み分けが明確化出来て良いと思う。「MIRACLE」を聴きながらしみじみそう思った。そういう意味で今回のツアーのSET LISTはFLOYDからの選曲が多すぎてPROSやKAOSからの曲が殆ど無かったのは非常に残念であった。こういう選曲をするから観客に「やっぱりFLOYDその物を聴きたかったな」と思わせてしまうし、「今日はロジャーのソロライブに来て、ロジャーを満喫出来て良かった」と思わせる事は、これでは出来ない。
しかし裏を返せばロジャーもFLOYDにはまだかなり執着が残っているという気もする。最近はロジャーとFLOYDも随分接近しつつあると言う事なので今回のロジャーライブは4Pの復活もあながちありえない事でも無いかもしれない。そう思わせるに充分な構成であった。但し復活してくれるなら早くやってもらわないと困る、と言うのは彼らも何時までもワールドツアーに出れる年齢ではないからだ。
だがまあ せめて米西海岸くらいでライブをやってくれるのであればウラBBSの皆さんが大挙して押し寄せるに決まっているので問題ないだろう。もちろんその時は私も参加するつもりではあるが、いかんせんFLOYDは何か事が起きるのが5年単位なので当分は我慢しなければなるまい。
個人的には88年の大阪城ホールで3Pを観ているので、今回ようやく全てのメンバーを観る事が出来たのが非常に嬉しかった。それもバンコクで!やはり次は4Pだ、早く実現して欲しいものだ。今回のロジャーのツアーは99年くらいから間隔を置いて行っているはずだがその集客数から推測すれば4Pの興行的成功は確実だろう。但し問題なのは彼らは成功や収入のために音楽をやる訳ではないという事で、この話は尽きる事が無いので彼らに預けておくとして、とにかくファンが観たいのは4P=4人のPINK FLOYD。それは間違いない。実現を切に望むばかりである。
今回、異国の地でロジャーを聴こうとは予想だにしていなかっただけに何とも感慨深いものがあった。
それだけに本ライブレポートとしては多少FLOYDオリエンテッドになったがライブの内容よりはどちらかと言うとタイという国を紹介する事に多くの部分を割くことにした。理由としてライブ内容については国内で既に立派なレポートが書かれているという事、私はロジャーについては人に比べてあまり知識が無いと言う事、何よりも少しでも多くの人にこの「微笑みの国・タイランド」を知ってもらいたいと言う事がある。そういう訳で今回のロジャーのバンコクライブレポートは半分バンコク「ライフ」レポートの様相を呈している。これを機にタイと言う国に興味を持ってくださる方が少しでも増えてもらえれば幸甚である。